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(平成23年10月『食欲の神様』)


私が卵巣がんを発病する半年前、
中学校からの同級生A君が、皮膚がんで急逝しました。
(A君と呼んでいましたが、女の子です。)


A君は
私の三倍よく食べる人で、
私の五倍しゃべる人で、
私の十倍エネルギーに溢れている人でした。



突然の訃報を聞いたときは、まさかと思いながら
病院に通っているという噂も聞いていたから
そんなに悪い状態だったのか…
なんでもっと早く連絡しなかったのか
なんでもっと早く会いに行こうとしなかったのか

とてもとても後悔しました。


A君は、本当に一部の友達にしか病気を伝えてなくて
きっと、治療が落ち着いたら皆に話そうと
思っていたのでしょう。
絶対治ると信じていたのでしょう。





彼女が旅立つ半年前、
私とKちゃん、Yちゃん、A君で久しぶりに会い
ココスでランチをしました。

A君は誰よりもしゃべり…というか、
ほとんどA君の話を聞く感じでした。


私はドリアを頼んだのですが、半分で満腹。

私「A君、食べない…?」
残飯処理みたいで申し訳なかったけど

A君「ハヤシ君は相変わらず少食だなぁ」
と嫌な顔をせず、たいらげてくれた。

私「昔からよく食べたよねぇ」

A君「ハヤシ君が食べなさすぎなんだよ」



遅くまで仕事をして、運動もして
たくさん食べて、たくさん飲んで、
たくさんしゃべる彼女は、

私たち同級生の中でも一番
病気と縁がなさそうな子でした。



彼女と話したのはそのときが最後。





訃報を受けて、Kちゃん、Yちゃんと一緒にA君の自宅へ。


白い布団に横になっているA君は
本当に今にも起き上がりそうなくらい肌も綺麗。


ご家族から聞いた話だと
私たちとランチをした2ヶ月後くらいから体調を崩し、
それからずっと闘病生活だったらしい。
血液データ上、皮膚がんと診断されたが、
結局原発が分からなかったとのこと。



私のドリアを食べてくれたA君が、
どうして…:(´;ω;`):




その後、Kちゃん、Yちゃんと話をしました。
悲しさや喪失感ももちろんあったけど
A君は人生の修行を飛び級で
終えてしまったのかなと。

私達はまだ修行が足りない、
うすーい人生だから、生きなきゃいけない。

A君は間違いなく天国に行くから
ちゃんと見送ってあげよう。






A君が旅立ってから、また半年後
私の卵巣がんが見つかりました。

Kちゃん、Yちゃんは、
ハヤシも死んじゃうんじゃないかと心配したでしょう。
よく面会に来てくれて、
手術後も、駆けつけてくれました。
(もちろん術後なので話はできませんでしたが・笑)



私は入院する時、A君からもらった
中トトロのぬいぐるみを毎回持ってきていました。
食欲が戻りますように。
食欲の神様として崇めていました。

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食べられないときは中トトロ様にお祈り。

いつも見守ってくれている気がする。


A君は私の心のなかで、今もしっかり生きています。


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